ラテ本10(謎の本。そして密林。。。)

薬草か?毒か?
「アヤワスカ!〜地上最強のドラッグを求めて」AKIRA著(講談社)2001年発行
本屋で見かけて買った。ドラッグ経験者の著者が「ブラジルからシャーマンがくるらしい。そのシャーマンが持ってるアヤワスカというのは、LSDの数百倍の強さ」という噂を聞きつけるところからはじまり、アマゾンに向かう。
この旅の参考になったのが、下の藤本みどり著「アヤワスカ」
「アヤワスカ」藤本みどり著(成星出版)1999年発行
上のAKIRAのように、頭っから「アヤワスカ=ドラッグ」という入り方ではないが、結果「生真面目なドラッグ・レポート」になっている。「山登りが好きで座禅や気功のような精神修業もやっていて、ちょっぴり神秘的なことが好き」という人はまわりに何人かいるが、アマゾンにアヤワスカ飲みに行くところまでは・・・
○参考までに、
渋谷なんかにドラッグの露天商の若者がよくいるが、「アヤワスカ」の文字もみかける。ブラジルやペルーでは「アヤワスカ=ドラッグ」という扱いではなく、祈祷師が病気治療などの目的で「精霊を呼ぶ」のに必要な神聖なるモノである。大まじめにである。エクアドルの「サンペドロ」というサボテンも同様。
ボリビアの「コカ」も、占いや豊作祈願や、あらゆる儀式に使われる。鉱山労働者がろくに飯も与えられず働き続けるためにこれを噛んで乗り切る、という作用はあるが、これの依存症になる話は聞いたことがない。あくまでも「生活に役立つ」ものである。
「アマゾン漢方」永武ひかる著(NTT出版)1996年発行
南米の人々にとってこういう幻覚作用のある植物をはじめ、フツーに胃薬・キズ薬になる植物は、アマゾンに無数にある。アジアの我々にとっての「漢方薬」みたいなものである。こちらの本は比較的納得しながら読めた。
「オラ!メヒコ」田口ランディ+AKIRA著(角川文庫)
タイトルからいって観光本のコーナーに入れても良いのだが、この二人の旅行で普通に観光するとは思えない。
予想通り、大半はキノコの話。

「コカ」と言えば、エボ・モラレスがボリビアの大統領に就任した時、CNNのWeb版ニュースでエボ大統領を「コカイン農家出身」と紹介していた!
「コカ(の葉っぱ)」と「コカイン(精製されたブツ)」は全然違うんだぞ!!!
怒ってさっそく抗議のメールを送ったりしたが、とくに反応なくその後そのページは過去に流れて行った。困ったのはブロガー達で、そのニュースを読んで「大統領がコカインを作ってる国ってどんなんや?」みたいな記事がいつまでも残っている。何でもコピペ流行りの今、ニュースを流す元はもっと注意して欲しい。

アマゾンに魅せられた人々
「楽しき熱帯」奥本大三郎著(集英社文庫)2000年発行
熱帯の「虫」に魅せられた人。蝶の美しさの描写もすばらしいが、それ以上に「刺されても命に別状はないが何日も何日も痒い」・・・といった、刺す虫の描写がリアル。私はかゆいのは苦手である。   
上の本はタイトルからしてそうだが、アマゾン関係の本の多くは、
「悲しき熱帯」クロード・レヴィ=ストロース著/川田順造訳(中央公論社)
へのオマージュになっているものが多い。ところが私はこっちの「悲しき・・」の方はまだ読んでいない。古い本なので探しても見つからなかったのだが、最近紀伊国屋で復刻版を見かけた。しかし上下巻2冊、しかも分厚いので読む勇気がなく購入に至らなかった。いつか挑戦したいとは思っている。
「ブラジルの記憶 悲しき熱帯は今」川田順造著(NTT出版)1996年発行
その「悲しき熱帯」の訳者が、実際に見たブラジルの「今」。
「悲しき」という日本語は、ちょっと感傷的でイイ感じの言葉になっているが、原文に訳をつけるにあたって「悲しい」のほかに「うんざりする」とか「暗い」の意味もあるので、かなり迷ったらしい。そういった複雑な思いが、ますますブラジルに向かわせたんだろうなあと思った。

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