イイヅカ・サトコ 5回目の個展です。
1991年より美学校で石版画を学び、石版画の制作を今も続けています。
これまで、グループ展でも個展でも主に石版画を出品していたのに、
まだ「石版画展」という題名の個展をしていなかったことに気が付いて、
あわてて題名につけました。ですから、いつも通りの個展です。
石版画は、簡単にいうと、石に油性のクレヨンで絵を描き製版すると、化学反応で「水をはじくところ」と「水になじむところ」ができます。その「水をはじくところ」に油性のインクをのせて。紙を押し付けると絵が写るのです。(簡単に言い過ぎ?)石を彫ったり切ったりするわけではないので、別にタイヘンじゃないですよ。クレヨンで描いた線がそのまま出るところと、やや粗めの砂目が気に入ってます。
いつも石に直接絵を描いて、まず1版目を刷ります。
それから次の版の色を決めて描いて・・・と平均5版ぐらい、描いちゃ刷っちゃ、描いちゃ刷っちゃしてます。
そういうのを常に3点ぐらい並行して作っているので、いつも「何だかよくわからないピンクの」とか「変な形の青いの」とか「よく見えない黄色の」描いてある石が、プレス機を通り、さっきの紙の上に色が重なって、ア〜とんでもないことに・・・と思いきや、完成すると案外フツーの絵になってるのです。
そんな風に刷りながら考えていくやりかたなので、原画らしいものは存在しません。
ところで、
アンデスの人々は、写真に撮られるのを嫌います。私自身カメラを向けられると緊張するので好きでないというのもあり、あまり向こうで人の写真を撮ってません。
スケッチならわりとみんな見逃してくれますが、ただ私の好きな、市場で働くオバサンや、お祭りで演奏するオジサンを、大仰なスケッチブックや絵の具箱を広げて描いてるヒマやスペースはありません。急いで小っこいメモ帳に描くか、だいたい頭の中にスケッチします。
頭の中にスケッチするのだから、実際の腕前に関係なくせいぜい上手にキチっと描けば良いものを、頭の中で描いてもやっぱり私は私の線しか描けません。なんでだろう・・・??
|