個展(1996新橋/三木ギャラリー)「ワスカランの見えるところまで歩こう」

出品作品

個展によせて
ワスカランというのは、ペルーの北の方にあるワラスという町の近くにある山です。ワラスには私の友達とその家族が住んでいて、1994年のお正月訪ねて行きました。
ワラスときたら、日本の富士山よりも高い所でみんな平気で暮らしていて、私はひとり高山病と風邪でせっかくのお正月をベッドで過ごし、観光する予定だったチャビン遺跡は大雨でバスが出ない。まったくの「マラ・スエルテ(ついてない)」そんなとき、友達のママが
「ワスカランの見えるところまで散歩に行こう。」
と誘ってくれました。天気が良ければ家の2階からでも、通り2つ向こうのアルマス広場からでも見えるけど、ママと、ひ孫のアニータと3人で、どこまでも歩きました。
実は、散歩の目的は、自然にはえている「エオカリプト(ユーカリ)」の葉っぱをつむためだったのです。
「この葉っぱをおでこに貼ると熱が下がるよ。」(こめかみにコウヤク貼るのと同じ)
「鼻の穴につめると鼻づまりが治る。」(これは恥ずかしいのでパス!)
その夜ママは、エオカリプトの葉を温めて、もんだのを、背中にこすりつけてくれました。(つまり天然のヴィックス・ベボラップ)
私は、言葉にうまく表わせない、うれしいんだか、かなしいんだか、
赤ちゃんになってしまった。
ただ、泣いてばかりいた。
「なんで泣くの?おなかが痛いの?」
みんなが心配するけど、止まらないんだ。
だって赤ちゃんになっちゃったんだもん。
コメカミにエオカリプト貼った私
(目がウツロ)とアニータ

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