〜日記のようなコーナー〜

2002年8月25日
先生と呼ばれる程の・・・
  
美学校に入ってまず違和感を覚えたのは先生のことを
「○○さん」と呼ぶ人が多いことだった。
ほとんどの人が社会人で、先生と年齢が近かったり、
年上の人もいるから、とか、
元はここの生徒だった人が熟練して今は先生になったから、とか、
その頃はそう理解していた。
   
しかし最近ようやく別の意味がわかった。
美学校で絵や版画を教えてる人は、先生が本業なのではなく、
あくまでも自身が現役で制作活動をしている作家である。
また、生徒も学生が本業なのではなく、
制作活動の一環として、新しい技法も取り入れるために
たまたま美学校に来ている、これまた作家なのである。
つまり同じ作家同士なのだから
「先生」でなく「さん」で呼ぶのがあるべき姿なのだ。
   
*
だいぶ前のことだが、初めての個展が終わった翌日のこと
「イイヅカ先生でいらっしゃいますか?」
という電話。話を要約すると
「XX新聞の夕刊で新進女流画家の特集を組むのだが載せてよいか」
というので、日本も平和でニュースがないとこんなとこまで来るのか。
ぐらいに思って「別にかまいませんよ」と言うと、
「つきましては14万円・・・」と言うので
「えぇっ!そんなにもらえるんですか?」と答えると
「いえ、お支払いいただきます。お振り込みになさいますか?」
    
「そんなお金ありません」と言うと、
「あ、そうですか」とあっさり切られた。
私は長年デザインの仕事をやってたので、ですねー、
雑誌や新聞に作品を掲載したら、作家に原稿料を支払うもので、
作家が出版社にお金を払うなんて聞いたことがない。
   
翌日、師匠や先輩に話すと
「もらえるんですか?」のとこで大爆笑されてしまった。
その手の話しは、展覧会やるとかならずあるそうで、
個展の案内状に載せている電話番号にかたっぱしから電話をかけるらしい。
「そんな金あったら、もう1回個展できるだろ?
まだまだお前はそういう経験を積むほうが先だろう?」
という師匠の言葉に大きくうなづいた。
    
「先生と呼ばれる程のアホじゃない」
いつ誰に聞いたかわすれてしまったが、おそらく
当時尊敬していた人が言っていたのを急に思い出した。
「先生の作品に感銘を覚え・・・」なんてオダテ文句に
気を良くするには100年早いっす。
    
その何年か後、あるグループ展に出したところ、案の定電話がかかってきて、
「XXという美術雑誌に見開きで掲載する。23万。」という話。
驚いたことに、展覧会の搬出の日、
数人の作家がその出版社へ作品を送っていた。
「なぜ23万もかけて雑誌に掲載するのですか」と
本人には聞けなかったが、他の人に聞いてみたら
「雑誌に掲載されたらハクがつくからだろう」とのこと。
    
確かにデパートなどの絵画販売コーナーには、
絵のそばに作家のプロフィールとともに、雑誌が開いて置いてある。
これが新聞ならなおさら説得力を増す。
23万円は、銀座では1週間個展を開くのに諸経費を含めると足りない額。
私のような未熟な者は問題外だが、
師匠ぐらいの経験を積んだ人なら1回分の個展費用をそっちに回して
一気に全国規模で有名になってもいいんじゃないか?
とまで思ってしまった。
うーん。なかなか微妙な問題に触れてしまったかな。
     
最近では私は案内状に電話番号を掲載してないので
個展の後の電話はなくなったが、
グループ展の主催者が勝手に名簿を作ってしまった時などはかかってくる。
「イイヅカ先生のお宅ですか」という電話には
「いいえ違います」と答えている。
ちなみに
「奥様でいらっしゃいますか」という電話にも
「いいえ違います」と答えている。
そんな、いかにも「不特定多数にかけてます!」と言ってるような電話に
いちいちまともに答える人がいるのか疑問である。

2002年8月24日
ケイタイでメモ
  
電車に乗っていて読むものがないときはたいてい
前の席の人の似顔絵を描いている。
そのため、だけではないんだが、メモ帳を持ち歩いていても、
結局そのためにしか使ってないので、
たとえば毎年正月に新しい手帖を買っても、罫線をまったく無視して
車内でみかけた変な人のスケッチとか詳細なメモが書いてある。
人はそれを「ネタ帳」と呼ぶが、
別に私はお笑いの作家ではないぞ、と少々不本意。
    
昨日ふと思い立って、ケイタイでメモって自分にメールしておけば
ここの日記にそのまま使えるじゃん!
てなわけでやってみた。
XXXコーヒーで期間限定サラダドックとアイスコーヒーののテイクアウト頼んだらお店のおねえちゃんが袋に縦につっこんでよこした。ホットドックを縦にして大丈夫かな?とちょっと疑問に思ったがお店の人がするんだからまあいいかと持ち帰ったらやはりきゅうりが落下していた。きゅうりはともかく、ドレッシングが紙袋にしみこんでしまったのはいたい。
打つのに時間かかるだけで、使えん・・・。

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