〜日記のようなコーナー〜

2003年12月31日
盗用事件、まとめ
      
先月「コパ・アメリカ2004年のペルーチームのマスコットキャラクター」が、
私のHPにあるchasqiのアニメーションに似ている!と書いた件。
その後、事態(というより、私の心理状況が)二転三転して、
まったく落ち着かない胃の痛くなる日々を過ごしていたが、
ついつい報告しないままになっていた。
いずれ(公開はできないけれど)さまざまな保存画像も入れて
ちゃんとまとまったレポートを書きたいな、などとも考えている。
          
しかし、とにかく結果報告を早くしないといけない!と気づいて書いた。
ずいぶんためてしまったので長文になった。
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11/3
夫に相談。迷っているなら行動せよとの答え。しかし何をどう行動すれば良いのかわからず。
とくに、相手が外国人なので、そこの常識非常識などもよくわからない。
ペルーに詳しい知人に相談のメールを出す。
       
11/6
ペルー関係の掲示板に書き込む。
相談にのってくださった方が、メーリングリストなどで色々な方の意見を集めてくださった。
これは断固抗議すべき!という意見と、徒労に終わる可能性大の意見をきき、迷う。
       
11/8
インターナショナル・プレス(日本に住むペルー人などが主に読んでいるスペイン語の新聞)
の記者から電話取材の申し込みのメールがきた。返事を出すとすぐ日系人の記者から電話がきて、
スペイン語で取材される。思っていることよりも、どうしても強い意味になってしまうことを懸念しながらも、
そんな微妙な言い回しはできない・・・。
新聞に載せるために作品と作者がいっしょになった写真が必要とのことだが、
パソコンで直接描いたため、原画がパソコンにしか無い、というと、プリントしてくれという。
プリントした紙を持ってデジカメ撮影して送る。これでいいのか?と思う。
まあ、実際新聞に載るかどうかわからないし・・・と気軽に考えることにする。
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11/9
友人からメール。
「相手を盗人扱いするには、ちょっと弱い気が・・・」の意見に、かなり揺らぐ。
別の友人も「他人の空似ということも?」絵描き関係の友人も「微妙」との意見、
身の回りからは不利な意見しか来ない。
しかしペルーに関わりのある人々からは、「酷似している」「海賊版の国」
「ペルー人でも同じ状況なら抗議する」との意見。
どうしたらいいのか!
     
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11/11
御意見をうかがった方達にメールを書く。
この時点で自分の気持ちとしては「これでやめておこう」の気分が強い。
     
*   
昨日IPCの方と電話でお話しました。
作品といっしょに写った写真を送ってくれとのことで、
送ってみましたが、どのように取り扱ってくださるのかはわかりません。
当面はその心配で頭がいっぱいです。大問題に発展するのかしないのか、
大問題にはならない、のほうをつい望んでしまいます。
私はどうも怖くなってしまいました。企業レベルの大損でもないので、
当初のアドバイス通り「一応は抗議した」という形が少し残れば充分のような気がします。
        
皆さんのお話を伺っていていると、実際問題ペルーの「なんでもあり」かげんは、予想以上なのですね。
(自分でも海賊版の音楽CDやビデオなどを買ってきてしまったりしていますし・・・バカに安いと思った・・・)
企業のロゴをそのまま使ってしまう、なんてこともある中に「似ている」だけでどうこう言うのは不可能と判断しました。
それに、サッカーのマスコットとしていくつも手を加えてありますし、「そのまま使った」とは言えません。
何より「チャスキ」という文化(?)がもともとペルーのものなので、
自分よりもはるかに資料にはめぐまれているでしょう。
         
など、自分に不利なことばかり次々と思いついてしまうので、萎えました・・・
今後もこういった問題は国内外で直面すると思います。しかし「今後のために」とガンバルにはあまりにも、
今回は漠然としすぎているし、自分に覚悟が足りませんでした。
         
突然のスペイン語のメールについうろたえてしまい、パニックを起こしていたのですが、
色々な方の経験や苦労を伺っているうちに、冷静に考えられるようになりました。
ペルーに限らずどこの国でも、国内でさえも、
「企業レベル」での「そっくりそのまま盗用」まであるところへ、
「個人」で「似ている」程度で何か言う、というのがとても気の遠い話に思えました・・・。
         
ただ、やはり自分の作品を守るという強い意志は持っていかないといけないなと、あらためて感じました。
今後のために「一応は抗議の姿勢を見せる」ぐらいはしておこうと思い、IPCの記者の方とはお話しました。
「こんなことはよく有る話だから〜」と思うかもしれないし、そこの判断はおまかせしようと思いました。
本当に色々ありがとうございます。
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11/12
インターナショナル・プレスのWEB版に、短く記事が載る。
これで終わりかとなかば安心したところ・・・
駅売りのインターナショナル・プレス一面にかなりデカくカラー写真で出ている。
中のスポーツ面にはさらに詳しく、言ったことのすべてと、私のHPにある経歴が載っている。
あまりニュースが無い時期だったせいか、
サッカーに関することだから、ペルー人にとって重要なニュースになった?
こんなに大きく扱われるとは・・・
       
11/13
ペルーに住む日本人ジャーナリストの方から連絡がくる。
むこうのテレビ局の関係者が興味を示し、番組になるかもしれないとのこと。
     
返事を書く。
*
お忙しい中、本当に色々とご意見やアドバイス、ありがとうございます。
見ず知らずの他人である私の作品のことを、とても真剣に考えて下さって、心から感謝いたします。
私が望むことは、受賞者が賞金を剥奪されたり、そういうことではありません。
ただ、今後自分の絵が「コパアメリカのマネだ」と言われことなく、今まで通り使い続けたいだけです。
      
でも、IPCの方から、今週の土曜に記事になるとの知らせがきましたので、
まったく知らん顔もできなくなりました。
こちらの方も、まだまだどういう反響があるのか、まったく無いのか、わかりません。
このまま立ち消えてしまうのかもしれませんし、こういった問題が、
ペルーの人々の間でどう考えられているのか、にもよるのかもしれません。
ですから、 この件も、そのテレビディレクターの判断にお任せして、
成り行きを見守ることにしようかなと思うのですが。
ただ、こちらではペルーのメディアの状況など知ることができません。
もし、進展がありましたら教えていただければ幸いです。
たびたびお手を煩わせてしまい、申し訳ありません。
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11/17
ペルーの短いニュースに少し取り上げられたらしい。
見てないのでわからないが、だいぶ反響があったため、さらに本格的に番組にするとのこと。
専門家に鑑定してもらって二つの絵の共通点をハッキリとさせたとのこと。
(18個所の類似点が指摘されたらしい)コパアメリカ主催者にインタビューも行われたようだ。
本人の抗議の姿勢を示すため、抗議文をぜひとも出さなければならない、とのこと。
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11/18
ファックス、メール、郵便等で抗議文を送る。
      
*
抗議文
私は、イイズカ サトコといいます。大学で美術を学び、版画家として仕事をしています。
コパアメリカ2004のマスコットについての11/1の新聞記事(el Bocon)と、
ペルーサッカー協会の公式ホームページを見て、 大変おどろいています。
コパアメリカ2004のマスコットは、私が描いたチャスキのイラストとほとんど同じ絵柄でした。
私が描いたチャスキのイラストは1998年より私のホームページ上で使用しています。
私のホームページには、
「作品を使用したい時は連絡をください」と書いてあります。
コパアメリカのマスコットイメージの絵柄は、
私の作品をまねて描かれたことは明白です。
無断で使用されるのは困ります。
国際的な著作権侵害として正式に抗議を申し込みます。
直ちに使用を中止するように申し入れます。
この抗議文は、貴国のINDECOPI、在日ペルー大使館、日本の
著作権保護協会に同じ文書を提出しています。
したがって、このイラストを使いたい旨、申し込んでください。
もし、コパアメリカのシンボルイメージに採用されたという絵柄を使用する場合は
オリジナルの著作権者がイイズカサトコであることをペルー社会に知らせる
あらゆる努力をすることを要請するとともに、著作権使用料を要求します。
*
Nota de la protesta
・・・ (スペイン語訳はここでは省略。)
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11/19
番組を見たペルー人から何通かメールが来る。応援メッセージのような内容。
            
11/20
エル・コメルシオというペルーの新聞のWEB版に、コパアメリカの関係者のインタビューが載る。
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11/21
掲示板に書き込む。
   
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むなしい感じも・・・
先週、チャスキ・イラスト盗作疑惑について、
いろいろアドバイスをいただきながらも、すっかりおじけづいて
>今後のために「一応は抗議の姿勢を見せる」ぐらいはしておかなければ
>今は、こちらを静かに見守ろうと思っています。
と、いったんはひっこんだのですが、
インターナショナル・プレスにあっさりと載ってしまいまして、
それもずいぶんと大きく、一面とスポーツ面の二ヶ所で扱われ、
状況は一遍し、拡大してしまいました。
ペルーのテレビに5分程流れたそうですが、
「反響があった」との報告を受けまして、
抗議文を出したりしました。
しかし、エル・コメルシオの記事を読むとどうも
「こっちも使うし、君も使えばいいじゃん?
誰が使おうと何の問題があるの?」って感じですね。
これを聞いたら、コピー商品を作って売ってる人は大喜びでしょう。
「キャラクター商品は誰が作って売っても可」と聞えます。
あんな大きな組織でさえ、そういう考えなんですね。
国をあげて「海賊バンザイ!」なのでしょうか。
がっかりです・・・。
(これは後日私の深読みしすぎと判明。かなり疲れています。)
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11/24
gogleなどの画像検索で、chasquiを検索すると、
一番最初のページに自分のHPがヒットすることがわかった。
このことから考えられるのは、ある人の意見にもあった、
「こういう懸賞は出来レースもあり、適当なイラストを探してきて使うこともある」
という「適当に探した」にあたってしまったのではないか、ということだ。
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数日体調不良で休眠状態。
      
11/26
別の人から、国際問題にくわしい弁護士を紹介してくれるとのメール。
このままいくと、やはり裁判に流れることになってしまう。決断を迫られる。
       
日本国内の著作権保護団体を探す。
WEB検索では、あまり信用できそうもない(かえって食い物にされそう?)
怪しい団体ばかり、ていうか、本物かどうか判別不可能。絶望的。
音楽はJASRACのように完全に職業として管理してくれる有名な会社がある。
美術家団体に所属していれば、出品作についての保護はされる。
出版物などは、それが証拠になるから、権利の主張がしやすい。
しかしWEB上にただ流しているものに、どんな証拠を出したら誰もが納得できるのか。
イラストやデザインなどの裁判記録などを読むと、
結局は「似てる」と「真似た」の違いとは・・・の主観・客観の戦いの末、
ほとんどのものが「証拠不十分」で終わっている。
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その後数日間、仕事が忙しくて全く身動きとれず。
            
12/16
やはり継続断念。お世話になった方々にメールを書く。
    
*    
いろいろとアドバイスして下さったり、マスコミに働きかけてくださったり、
本当にありがとうございました。
いろいろ考えたのですが、これ以上さらに抗議したとしても、
コパアメリカの「このまま使い続ける」という姿勢は変わらないと思います。
もともとコピーしたりマネしたりすることがあたりまえなの風潮、
そう簡単に習慣は変わらないと思います。
           
しかし何人かの反応があったり、たとえば、
あのテレビ・ディレクターの方のように問題視している方々もいる、
ということもわかりました。それは力強く感じました。
でも、どちらが多数かと言われたらやっぱり
「何が問題なの?」の方が圧倒的に多数だと思います。
         
このまま裁判ということになったとしても、疲れるだけの様に感じました。
これは、ペルーに限らず、日本国内でも同じようなものだと思います。
日本におけるデザインやイラストの著作権に関する判例集などを読んでも、
徒労が多く、あまり良い結果は見当たりませんでした。
ただ、まだ日本国内でなら、微妙な言い回しや表現もできるし、
友人を始めとし、もっと協力者を集めることはできます。
でも外国が相手ですと、ペルーを知らない人は退いてしまうし、
ペルーを知っている人はお国柄を知っているだけに絶望視です。
         
しかし今後、もし第三者から「コパアメリカのマネじゃないか?」といった
中傷のメールが来ても、自分としては、対応できる自信はつきました。
また、同じイラストを使ってくれている他の2件のHPの管理人に対しは、
今後このような中傷を受けるかもしれないが、嫌なら外してください、
と伝えようと思います。
*
「こういう問題は、やるなら覚悟を決めて徹底的に、中途半端は人に迷惑をかけるから」
と忠告してくれた人もいたのですが、本当にその通りたくさんの人に迷惑をかけてしまいました。
なんとお詫びを申し上げていいかわかりません。
とくにアーティストの先輩として、本当に親身になって考えてくださった方に
会わせる顔がありません・・・。
              
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以上が、一応この件のまとめです。
引用文* などは、自分の書いたもの以外はなるべく避けたつもりですが、
もしも問題がある個所があったら、お知らせください。削除します。
     
新聞記事などはもうとっくにリンクが切れてしまっているようです。
コパ・アメリカの公式HPはまだ工事中ですが、例のイラストが使われて続けています。
http://www.copamericaperu.org/
このマークを、コパ・アメリカとしては、ワールドカップまで使いたいらしいです。
ペルーチームが南米予選を勝ち抜いてワールドカップに出れるかどうかは疑問ですが・・。
        
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これまで、ちょっとウルサイと思ってあまりつけていなかった「(c)copyright・・・」の文を
HPのあちこちに付け加えた。
これは常識であって、つけてないと「どんどん使って良し!」の意味ととられても仕方ない、
とまで書いている人もいた。そういうものか?
頭っから人を疑ってかかるみたいでやだなあ、なんて考えは甘いらしい。
も少しクールに生きないといけない。
      

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