〜日記のようなコーナー〜

        
2006年6月1日
豆と私
          
豆と私・1
           
私はどちらかというと豆嫌いなほうであった。
豆嫌いがどこからきているかといえば、
小学校5年生の時の東京から田舎への引っ越し。
その小学校は(農家が多いからか?)各自家から白ご飯とお箸持参で、
おかずだけ出る、という給食だったのだが、
どうもおかずが年寄り臭く、ワンパターンだった。
そのうえ昔の給食にありがちな「牛乳至上主義」というか、
なんでもかんでも白くて冷たい牛乳が付いてくる。
      
しかも、なぜか毎日必ずきゅうりのキューちゃんが付いてきた。
記憶に残る最悪な組み合わせは、うずら豆+キューちゃん+牛乳。
これで白いご飯を食べよ、いうのが苦痛だった。
デカくて甘いうずら豆をアルミの器に山盛り。
これがご飯のおかずとは考えられない。
仕方ないので、キューちゃんでご飯食べ、
うずら豆をデザートと考え、最後に牛乳を一気飲み。
こうしてやりすごすしかなかった。
     
牛乳は中学に上がってパン給食になってから
ようやく食間(あくまでもパンの時ね)に飲めるようになり、
家でも毎朝飲むまでになった。
しかし、うずら豆ときゅうりのキューちゃんに関しては、
もちろん食べられなくはないのだが、
いまだにちょっと胸の奥に哀しい気持ちが沸き起こるのである。
            
豆と私・2
           
うずら豆で登校拒否まで起こしかけたらしい。
母によると、私がうずら豆が苦手だとわかると、
給食当番の子がわざと大盛りにするようになったとか。
      
私の記憶では、うずら豆だけが原因ではなくて、
同級生達の方言がキツくて何を言っているのかわからない事、
東京の言葉でしゃべると「きどっている」と言われる事、
メガネをかけた子供が誰もいないから、全校から見に来る事、
などなど、色々原因があったはずだが、
「うずら豆が嫌だ。学校へ行きたくない。」
という発言に母は驚き、記憶に焼き付いているらしい。
          
うずら豆を発端に、大豆の煮たやつ、お正月の黒豆、
なにしろ甘い煮豆がどんどん嫌いになっていった。
それほど煮豆が嫌いだったのに、あんこは食べられた。
しかも、こしあんよりもつぶあん。
豆が完全につぶれていないゴロゴロしたやつ。
でも、あんこを食べるシュチュエーションって、
まず「これでご飯を食べろ」とは言われないわけで、
ドラ焼き、あんパン、かしわ餅、おしるこ・・・
つまり、おやつなのである。
        
そうだ!私は声を大にして言いたい!甘い豆はおやつだ!!
おやつに決まってるんだぁぁぁ!!(声を大にする意味は特に無し)
        
豆と私・3
     
豆との出会いで、衝撃的なことがあった。
しかしこれは良い衝撃で、これにより豆嫌いを返上した、のかも?
それが以下の2つの料理。
      
ペルー料理屋で食べたフリホーレス
白っぽい豆(カナリオ豆とあるが、白いんげん豆とどう違うのか不明)
を塩と香辛料でやわらかく煮た物で、肉料理の付け合わせ、
つけあわせにしては量が多いので、色の薄いカレーといった感じ?
これがなかなか美味かった。
       
ブラジル料理屋で食べたフェイジョアーダ
小豆をもっと黒くしたようなのが、牛肉やソーセージとともに煮込んであって、
塩で薄く味付けしてあり、パサパサのご飯にしみ込ませて食べる。
これがまた、やさしい味で、いくらでも食べられる。
シュラスコ(炭火焼き肉のそぎ切り)の食べ放題コースだったのだが、
ついその豆で腹いっぱいになってしまった。
           
日本人が見ると、しょっぱいお汁粉なんて食えるか!
と頭が混乱しそうになるけど、
南米から出稼ぎにきた人にいわせると、
甘い豆(お汁粉など)なんか食えるか!なんですと。
「食えるか!」と叫ぶ人同士が、
お汁粉とフェイジョアーダ食べたらスゴイことになりそうだ。
幸い私はいちいち叫ばない人なので、
めでたく甘い汁粉としょっぱい汁粉、両方食べられる人になったのである。
         
豆と私・4
    
さらにさらに、豆と私が近づくことになったのは、
夫が食いしん坊、ていうか、ハッキリ言っておデブなことだ。
         
独身の頃はおかずを大量に作ってしまうと何日も食べないといけないから、
極力、煮物は少なめに作ろうということ努力し、
(すでにしょっぱい豆なら克服済みなのにもかかわらず)
ひじきの煮物なんかは豆抜きだったのが、
おかず増量のために豆を使うようになったのである。
また、サラダビーンズという缶詰めで簡単にサラダができる。
親子丼やカニ玉にグリーンピースを飾るとさらに美味そうに見える、
などなど、
缶詰めを使えば、もう豆なんか怖くないぞ!
       
そうそう、もう一つ忘れてはならないのが「打ち豆」
大豆を軽くゆでてから、ペチャンコにつぶして、また乾燥させたものらしい。
以前、会社に来ていた栃木出身のパートのおばさんが、
ある時、豚汁を作って持ってきてくれて、それにこのつぶした豆が入っていた。
あの時の豚汁がコクがあって美味かったのを思い出して、
何件かスーパーを探して、やっと見つけ出した。
これは、豚汁に入れてコクを出す他にも、
煮物に最後の方に入れて歯ごたえと豆の味を楽しめる。
おっ?もしかして私って豆好きになったかも?
         
豆と私・5
        
我が家では最近ちょっとした豆ブームだ。
     
まず、ダイエット番組で下痢腹痛を訴える人が多発して有名になった白いんげん、
番組のサイトではもう「食べないでください」とまで言っているのに、
夫はその後もずっと食べ続けている。
さすがに番組で紹介していた「2〜3分煎って粉にしてご飯にかける」は、
ご飯がモサモサしてまずくなるだけだったので、
(ご飯を食べる気がしなくなるのが狙いっだったりして?!)
ただ茹でた豆をそのまま食べるのを採用。
私には、いまいち粉っぽくて好みではないが。
         
そして大豆。少し前に「大豆で長生き」みたいな番組を見て、
大豆の中の「なんとか酸?」がいいとかで、
今度は、大豆のゆでたのを食べ始めた。
一晩水に漬けて、さっとゆでただけで味付け無しの、
歯ごたえがあるやつで、これだったら私も食べられることがわかった。
      
それから黒豆。
去年、実家で黒豆を作ってみたからと大量に送ってきたのを、
もらった時は「黒豆 = お正月」しか頭になかったので放ったらかしてあった。
これも同様に茹でただけ、大豆よりも甘味がある。
煮汁も美味く、アンデスの飲み物「チチャ・モラーダ」を連想させる。
      
「ひたし豆」という豆の情報をききつけ、さっそく購入。
枝豆よりも豆の味わいがあるような気がする。
「味わい」だって!私も成長したものだ・・・。
枝豆は塩味がないとなぜかちょっとガッカリするが、
ひたし豆はそのままで美味い。
今のところ私にとってはキング・オブ・豆かも。
         
ムカシっから豆をゆでるというのはひどく時間がかかるもので、
「ポットに入れて一晩おくと早く煮える」
とかそういう記憶があったのだが、それは、
「やわらかく煮含める」ためであった。
甘い豆が嫌いなのと、煮るのがめんどくさいイメージとで、
豆料理から遠ざかっていたのも事実である。
         
いつかは「ほっこり」と煮た甘い豆が食べたくなる日が来るかもしれないが、
とりあえず豆と私が仲良くなれたのは大きな進歩である。
              

        
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