7.ラキータ

     


  

ラキータ
ラキータと呼ばれるスタイルには、いくつかの異型がある。

(以下は、Jach'a Lakita の話)ハチャラキータ。
ラキータは又、アイマラ族の踊りの名でもあり、この時期踊り手は
ニャンドゥ(ダチョウの一種)の羽で逆さの円錐形に丸く飾った帽子を使う。
ピンキージョのとは色彩が違い帯、シャツ、ズボン、ふさ飾り、ハンカチ、
胸の刺繍は、他と異なるモチーフを使ってある。
死を示す黒、血の赤、空と湖の青、肥満のサクランボ?、豊かさの黄、
弱さのオレンジ色のモチーフを用いる。
この踊りはスリシクリと似ている。(MAB P32)
この踊りは収穫の前、大地の神パチャママへの崇拝と良い生産の為に
習慣のように行われる。
(ニャンドゥはアメリカンエミューとも訳される。貴重な種である。)
収穫の前、農民は集まり踊りをする。
(5〜6月、コルプスクリスティー)コルケンチャ村
踊る行程は略。
MTB、P6 右にコチャバンバ県ミスケ郡モリネーロの
カスピカンチャのラキータが記されている。
16サンポーニャ、1ボンボ、1カーハ。
9/14のゴルゴスのセニョール祭で用いられる衣装などは
ラパスのものとは異なるようだ。
カブールの文献のとも異なる。ラキータの同名異型である。(未訳)
トヨス、マルタ、サンカの大きさを使う。カサマ付。アンタラ?

Jacha Laquita
参考音源
Mallku de Los Andes on the Wing of the Condor CD−7
Grupo Aymara

Boliviamanta Auquipacha 13

ラキータ  Lakita  (アイマラ語で優れた物の意)
普通のサンポーニャ(チャリャシク)が6-7管なのに対し、
7-8管(低音が一管ずつ多くなっている)の場合が多い。
同じ名前(ラキータ)でも異なるものを指している事がある。

ラキータの踊りの例  ラパス県ロスアンデス郡ペーナス町カルウィーサ集落
カルウィーサの農民(16人、アイマラ族)による。9月8日の祭り。
1956年の記録。
12台のパンパイプと4台のプトゥワンカラ、大タイコ。
4人の女性が歌と踊りを担う。
奏者は輪になって右に左に歩くだけの踊り?!
女性は輪の中心に立ち、そこで回る。
音楽が一時止まって、最も年輩の老女が唄いはじめる。
右手を天に向けあげ、手で輪を書く。
そして、女性3人が唄いはじめる。
踊りは3部、
Danza(踊り)- Loa(讃め口上)- Llano(いつものように)に
分けられる。
詳しくはCD解説(英、仏語)を。
参考文章・音源  Syrinx de Bolivia CD12(P7〜8) 1956年9月8日

コルケンチャのラキータ   (ラキータは踊りの名でもある)
ラパス県アロマ郡コルケンチャ
ラキータ10台
Jach'as 又は Sanjas 1組、 Makas 2組、Likus 2組、Chulis 1組、
ワンカラ4台(サンポーニャと共に使う)、女性ヴォーカル2人。
7管と8管。
特徴のある帽子飾りである。
だちょう(スリ)の羽根飾りの付いた車輪状の飾りをかぶって吹く。
踊りは、スリシクリと似る。服の色にも意味がある。
ラキータの踊りは、大地の母神パチャママに、翌年の豊作を願うために、
播種農作が始まる前に終えられていたとされる。
聖十字祭(Fiesta de Cruz)、コルプスクリスティ祭、
アスンタの聖母祭、守護聖人祭(Fiesta de Patronal)
MAB P32 Musik dem~ B4 foto9,10

アチャカチのラキータ  ラパス県オマスヨ郡アチャカチ
踊り手は各々、長い大きいタイコを手にしている。
スリの羽根の大きな頭飾りをつける。
ラパス地方のFolkLoreカレンダーP22

コルケンチャのラキータの衣装
頭にはスリ(ダチョウ)の花状の1mくらいのかざりが付く。
服には様々な観念が盛り込まれているようだ。
黒は死、赤は血、青は空と水、金は富、オレンジは弱さ・・・
                         といった感じである。
一列の共鳴管付のスリシクの関連はどうなのだろう。
又、生物としてのダチョウ(スリ)は、どの地域の鳥なのだろうか。
Musik dem~B4

カキアビリのリョコリョコ集落のラキータ
ラパス県パカッヘ郡カキアビリ地方リョコリョコ
ラキータ10台
Jach'as 又は Sanjas 2組、 Likus 3組、Chilis (共鳴管がないもの)1組、
ワンカラ4台(笛と同奏)。

C♯ E G♯ B D F♯ A C♯ イラ8管+開鳴管
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━        
  D F♯ A C♯ E G B    アルカ7管+開鳴管

踊り手は男女各々4名
サンポーニャは12名。うち4人はワンカラもたたく。各オクターブちがい。
チリにだけ共鳴管はついてない。(各1列になっている)
Musik dem  B9   譜10(MAB P17)

ラウラリョコリョコ由来のアランサヤのマリュクスのタキーラは、
8月15日地域社会祭り(Fiesta de Comunidad)の間、演奏される。
加えて、ロウリクの聖母(Virgen de Canderaria )や
コルプスクリスティー(聖体節)をたたえる祝祭や
無原罪の懐胎( Fiesta de Concepcion ) -12月8日-で演奏される。
パサンテ(祭りの指揮、経費等責任者)が、
マリュク( mallku 地域社会の首長。コンドルの意味もある)と
その妻達(Ta'llas タラスと呼ぶ)や、他の客人達を祭りに招待し、
祭壇上に描かれた絵や、聖母マリアに音楽や踊りを奉納する。
パサンテは黒服をまとって権威者であることを証明する。
投げ縄とムチを手に持つ。
演奏者、踊り手の中には高貴な宝石をはめ込んだ半月を
背中に水平にぶら下げているものがいる。
これはよく見られ、キリストを抱きかかえたマリア像が、
半月の上に立っている姿を象徴している。
加えて幾人かの踊り手はダチョウ(スリ)の羽根で出来た
巨大な車輪型花輪を頭に付けている。
又、2組(4人)の女性の踊り手達は
ワイニョのリズムに合わせ演奏者のまわりで踊り、
加えてリャマの毛をカプ、又はルエカと呼ばれる小さなつむぎ輪で
毛糸玉につむいでゆく。
演奏者達は円になって踊り、その中心ではマリュクとタリャたちが、
祭りのクライマックス、音楽が終わるまで手をつないで踊り、
その後「チャッリャ」(大地の神への献酒)が行われる。
ラキータの様々な踊りは時に、
チューニョピルワ( ch'un~u Pirwa  干し芋の貯蔵所)とか、
リョコリョコの想い出( Lloko-lloko t'anta siupia )等と、
呼ばれることがある。

無原罪の懐胎の聖母( Virgen de Concepcion )の祭りの間、
村人達は行進の時、マリア像の前で8の字型になって踊ったり、
そのまわりを更に取り巻いて踊ったりする。
それぞれの曲は、一本のバチで打たれる4〜8台のワンカラの速いビートで
始まるが、サンポーニャが入ると、一定の4分の1拍子へ移る。
2重張りのタイコの大きさは直径50cm、幅15cmで
打面側に、はね返りを強める為にサボテンのトゲが取り付けられた
さわり弦付のものである。

ラキータ(ワイニュ) Laquita Wayn~u  
              コチャバンバ県カピノータ郡アピリャパンパ
Laquita6台
Jatun Sanja(中 ) 1組
Liku(小)     2組
     ・・・N~aupa-Liku(7+7)とQhepaj-Liku (6+6) 同長開管共鳴付
小タイコ(Tambar)&バチ2本、ボンボ、マトラカ(ラキータを吹きながら鳴らす。)

モレナーダの踊りの演奏に使われる。
奏者8人、踊り2人。テンポの速い踊り。
8月〜9月10日までの間、トレンティノの聖ニコラス祭で見られる。
リクは、N~aupa(7管系)とQhepaj(8管系)に呼びわけられ、
これらは、イラとアルカの関係に似る。Hoqeut奏法による。

リク
 G   E♭  C   A♭  F  D  B♭   N~aupa
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━      
   F   D  B♭  G   E  C      Qhepaj

ハトゥン・サンハは、この1オクターブ下になる。
参考
CBBA、アヨパヤ郡チュニァウィチコのスィクス、
ミスケ郡モリネードのラカイパンパのラキータに似る。

ラキータ Laquita コチャバンバ県ミスケ郡モリネーロ地方ラカイパンパ
                           (Rakay Pampa)
Laquita 10台
Parejantin-Kuna 2組、Juch'uy-chaj-Kuna 3組 
                   (〜Kunaは複数形・組を示す)、
小タイコ(Tambor)1台 - バチ2本、ボンボ 1台 - バチ1本。

同長開鳴管付、6管-7管の組で、
7管組を、ギア(Guia-先導者)      (カンチ・チョフヤ 7管)
6管組を、トラスギア(Trasguia-後続者)又はマラ(Mala)と呼ぶ。 
                    (リフタ・チョフヤ 6管)
又、1台のサンポーニャのうち旋律管をトカナンクナ(Toka-nan-kuna)、
共鳴管をコンパニア(Conpania)と言う。
材は、チョフヤと呼ばれ、管の意でもある。

F♯ D B G E C♯ A Guia
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
E C♯ A F♯ D B Trasguia(Mala)
                      Parejantin-Kunaの場合

アピリャパンパのものより全体が半音低い。

ラカイパンパのラキータは、9月24日 救世主の聖母マリア祭で使う。
メルセッド・・・恩恵の婦人。高地の小さな村、ラカイパンパの聖人である。

シク・ラキータ   Sicu Laquita   ラパス県パカッヘ郡ラパス
ボリビア人の調査の本でも、スリの頭かざり付と書いてある。
1列13管(又はそれ以上)の共鳴付???
Taykas - Malas - Likus - Ch'illis
よくわからない分なのだ。   E.C P33

ヴィアチャのラキータ  ラパス県インガビ郡ヴィアチャ(Viacha)
サンカ 2組、マルタ 3組、チュリ 1組 (共鳴管付)
同村のスィクーリと構成が異なるようだ。
Artesania Popular P64
スィクス Sicus   コチャバンバ県アヨパヤ郡チュニャウィチコ
Likus 2組、Chilis 7組
8月2日のウクレーニャの農民の日の祭りで
スィクスの名前は、一列 又はその共鳴付の物が多いが
これはラキータに似ている。
共鳴管付6+6管のアルカ、7+7管のイラで構成される。
リズムはワイニョと呼ばれる。
オケツ奏法(ドブレ)である等の点では、
コチャバンバ県カピノータ郡アピリャパンパと
コチャバンバ県ミスケ郡モリネーロ地方ラカイパンパのラキータに似る。

ラキータ音源
Sol del Ande A-3
Kollamarka(SLPL13503 黄)A-3a・・・16組のラキータと6ワンカラ
Syrinx de Bolivia Danza de Laquita  12a、b、c
Grupo Aymara Imantata

ラキータ音源
Musik Im Andenhochland
B4 Lakitas       ラパス県アロマ郡コンケンチャ 7-8
B8 Suri Sicuris  (ハチャプシリ又はハチャシク)
                  ラパス県アロマ郡コンケンチャ 7-8
B9 Lakitas    (foto9)ラパス県パカッヘ郡カキアビリ/リョコリョコ

D1 Lakitas    (foto7)コチャバンバ県カピノータ郡アピリャパンパ
D3 Lakitas   (foto25)
コチャバンバ県ミスケ郡モリネーロ地方ラカイパンパ

ラキータ吹きの図。こんな姿の人が何人かいる(全てではない)。
スリシクにも言える?

  


8.パリャパリャ


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