
11.アヤラチ
ペルー、プノ県ランパ郡のアヤラチ達のうち、パラティア集落について
以下、詳しく書かれた話がある。
村の名前 パラティアは、雨の座るところの意味である。
標高4400mで、ラクダ科の動物リャマとアルパカの牧童のいる地帯で、
ケチュア語圏。
ヤナワラ〜サンカルロスの雪のかぶる位置にあるランパ県・・にある、
かやぶきの屋根と柱だけで構成された(つまり壁のない)
パラパと呼ばれる家のあるような村。
リャナパリャ(LlanaPalla)谷にあり、Choquesayani と
Huayra Caca と Cayco の3つの丘によって吹雪から守られている。
祭り以外の時期は本当にさびしい村である。
10月8日までに祭られるのは、
聖ロザリオと聖カルメン、ベツレヘムの聖母、○○○○○と、
部落を守る聖人アントニオである。
祭りの時期は、アヤラチスィクを吹く人々が近くの田舎の村からやってくる。
近年は少しずつグループが減っていて、今年は1〜2ヶしかいない。
アヤラチの語源は、アイマラ語のAya 霊魂→Ara 生命力、
Hachi 泣くに由来する。
サンポーニャの悲しげな音が表現しているのは、運命の闘いの中で、最も深い
農民の生命力であり、農民信仰の季節的変化→魂のゆらぎを示している。
アヤラチ達は、カトリックの祭りの間に現れるが、その表現しているものは、
ケチュア語族文化の深い信仰で、魔術的観念を表現している。
又、アヤラチの意は、泣いている魂、死とともに行く、という意味もある。
それについて、クロニスタ(年代記録者)のベルナーデ・コボ氏の1653年の
記述によると、インカ時代のパンパイプの一種に与えられた名である。
死にまとわりつかれた苦しみ、そしてそれに関わるといった意の音楽である。
この楽器は、村人の話によると、相当古くからある楽器であるという。
アヤラチ達は、インカ帝国最後の皇帝時代、アタワルパの葬式のために、
インカ皇帝からクスコに呼ばれたという。
貴族達はそうやって遺体をパチャトゥサン山まで、
音楽と共に運ぼうとしていたという。
又、アタワルパの死んだとき、
逃げ場を求めパラティアに来たクスコの太陽の乙女達の苦しみを表現したものでもある。
又、アヤラチスは、コンドル信仰にも係わっている。
アヤラチスの服装や儀式はアンデスの象徴であるコンドルを模している。
演奏するのは男だけである。
アヤラチスの服装(コスチューム)
・半詰め襟の房のついた白シャツ。
・黒か紺の短いコートは、ネル生地(フェルトのようなもの)で出来ている。
いろいろな刺繍や装飾がしてある。
端はスパンコールで飾られている。
・黒いネルのズボンは、パリャパンタロンとも呼ばれ、
ズボンの足の下側の後ろが、膝位の高さまで開いていて、
これも装飾品や金属のボタンが付けてあり、
これはコンドルの蹴爪を表現している。
・又、その内側に白いネルのズボン(Khalla Carzon)は黒ズボンより長く、
二重にはくので、内側の白ズボンが見える。
・そして、チュンピという、カラフルな織りのベルトを締める。
・白いウールのケープは胴を覆い、
その長さは先端がふくらはぎに届く位である。
・頭にはチューリョという、アルパカ製で、
耳まで覆う色鮮やかな編み帽を被る。
チューリョは、ビーズやリングで飾られている。
その上から Phuyu と呼ばれるスリの羽根で作られた頭飾りをつけてある、
アルパカ、羊等のウール製の帽子を被る。
スリは、ダチョウの仲間で、羽根は染めてある。
帽子は、 Toquillo と呼ばれる色とりどりのバンドでも飾られる。
羽根飾りの縦側を Sayac といい、 50cm くらいの長さ、
そして、水平面の羽根飾り --- 25cm長 ---を、 Jata(ハタ)と呼ぶ。
又、帽子はビーズや、小さな四つの鏡で飾られ、更に布が付いていて、
帽子から背〜腰に掛けてぶら下がっている。
・更に七つ以上のコカ袋「チュスパ」を持っている。
はいているサンダルはアルパカの皮でできている。
時に、少数の女子(4〜6人くらい)がアンサンブルに加わる。
派手な服を着て、飾りの役を果たす。
緑が色とりどりに飾られた、
紺のネルのペチコートのようなスカートをはいている。
3〜4つに別れていて、色分けしてあり重ねスカートになっている。
女子の上着は Jumilla フミーリャと呼ばれる紺色のネルのジャケットを着て、
ジャケットは小さいメタルのボタン(スパンコール?)で飾ってある。
内側は、赤いネルのシャツを着ている。
二種類のケープをはおって、 Chuko チューコと呼ばれる紺の装飾品のある、
頭からひざの高さまでぶら下がっている。
もうひとつは、 Lliclla (リッリャ)と呼ばれる幾何学模様の
デコレーション入りのバラ色のケープが、背全体を覆っている。
Tupo と呼ばれるピンで留めてある。
頭に帽子を被っている。
輪や、ウール製の花や、小さなビーズで飾ってある。
房の付いた小さな織り袋( Istalla)を持っている。
アヤラチの奏者は、左手で共鳴管付サンポーニャとタイコを持ち、
右手にバチを持つ。
太鼓は、タンボール、又はカーハと呼ばれている。
カーハは木製で羊皮が張ってある。
その直径は 55cm 、高さ 23cm 、羊皮の紐で響き線が付いている。
演奏はゆっくりしたステップで、よたよた進んで路地、通り、広場をまわる。
二列で進み、二人のガイド役がいて、旗手 バンデーラと呼ばれる8組から
なり、最初にユラックバンデーラ(白旗手)と呼ばれる。
ママイラが、初めのガイド役になる。
広場や招待されている家、パトロンの家に着くと、奏者は円を作ってまわる。
力強く Tambor のビートを続ける。
コンドルの動きを真似して、
ガツガツと肉を食い荒らすような真似をしながら食事をする。
12.サンティアゴ
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