
22.フルフル
Julu-Julu(フルフル)又は、Julo-Julo フロフロ
ラパス県インガビ郡インプマ・イルパグランデ地方の
Sok'osaという黄色の材でできた、フラフラ(Can~ahueca材)に近い笛。
3管(Ira)と4管(Arca)があり、
4管にひょうたん(Pulu/Tutuma)が付いている。
(E.Cavour氏によると、ひょうたんも吹いて使う)
赤の紐飾りのついた槍を片手に吹く。錫杖(しゃくじょう)のように見える。
3 de Mayo (5/3) の Fiesta de La Cruz 聖十字祭
16 de Agosto(8/16) の Fiesta de San Roque で見られ、
これは、K'usillos(2人)とコンドル (2人)姿のおどりが付く。
(M.A.B. P33~41に詳細)
●Akarapis(又は Socosa) Arca(4管)1台
Ira(3管)2台
●Likus(リクアカラピとも) 第一 Arca(4管)1台
Ira(3管)2台
第二 Arca(4管)1台
Ira(3管)3台
●Chulis Arca(4管)1台
Ira(3管)1台
(笛 12人 各オクターブ違い)
●小さな鐘 3ヶ(クシージョ1人と2羽のコンドルが持つ)

(不詳 管の音程は写真を採寸すると交互に並んでいる)
フルフルの踊りは家畜の外敵である、
コンドル、キツネ、ヤマネコが出てくる。
フルフルの伝説にこのようなものがある。
老人が山を歩いていると、羊に牧草をはませる若者達と会った。
老人は踊りをおぼえるように彼らを説得し、フルフルの吹き方をも教えた。
踊りの振り付けやリズムを教えた。
その間にコンドル、キツネ、ヤマネコが羊を盗んだ。
でも、老人はコンドル、キツネ、ヤマネコを殺すため
若者達と武器を刺し続けていた。
これは、コミュニティーの老人から聞いたものだという。
フルフルは、1809年より、5月3日からの聖十字祭の間にみられる
ものとして、知られるようになった。
奏者は、矢や槍を持ち、多くはポンチートをかぶる。
二つ折れ帽に血を表す赤いリボンを巻く。
リュチュ(耳あて付き毛糸編み帽)は海を表し、
又、食事を運んで差し出すのに使う。
踊り手のひとりは、剥製を肩までかぶり、キツネのように振る舞う。
2人のうちひとりの踊り手はコンドルをまとった若者のようにし、
ひとりはキツネのように変装して、
コンドルがひっくり返って負けるまで追い回す。
3人の踊り手は手に鐘を持つ。
4人の時は、K'usillo役2人、コンドル2人と旗手1人。(サンロケ祭)
フルフルの音楽は今日ではチューニョの為の音楽だという。
霜の出るくらいの低音と、日中の暖かさが同時に求めあれる。
大小のオクターブ差のあるプル(ひょうたん)を時々ならす。
フルフル
IRA(左)とARCA
ARCAにひょうたんが付く
ひょうたんは、正確にはTutumaと言う。
トロピカルフルーツの実Puluという。
参考音源
Sol del Ande ,1464, B-1 Aruntun~ani saluderemos
1550, B-2 An~athuyaw Jiujataina (Prov Ingavi)
MUSIK IM ANDENHOCHLAND B-6
M.A.B. 15 P33~34 ・・・・同じ曲。文献あり。
ラティーナ H9年9月号P42も文あり
フルフル・・・ということで、ラ・パスで購入したもの。
別の楽器のようだ。
F♯ - C - F
B - D
JULU JULU について
§1. 概要
洗脳テープ・チュチュリ編参照。
La Paz 県 Ingavi 郡で、近年ではごく稀にしか見られないジャングル。
笛の材料(ソコーサ)、メロディーの区切り方等、何故か Jula Jula との
共通点が多く、文化圏の違いを考えると不思議である。
Jula Jula 同様に、やはりこれもアンデス地帯独自の音楽文化というよりは、
Chariguano (熱帯地方から数多くアルティプラーノに流れてきたと
いわれる民族)の影響を強く受けたものに感じられる。
こちらは Tink とは関係なく、家畜を外敵から守る/外敵を追い払う、
といった目的で演奏される。Pulu と呼ばれる瓢箪笛の音が特徴だが、
これは日本でいうところの、シシオドシの様なもの。
5月3日、教会の前の広場で演奏される。
シク系の祭りでは非常に珍しく Kusullu が登場するほか、
コンドルに扮する役もあり、音源にはコンドルの鳴きまねが収められている。
フルフルを吹く者はアミーホと呼ばれる。
§2. メディータ、トローパの構成
Jula Jula と同様に、管数の多い方が Ira になる。
Pulu は Ira の低音側に付いている。
洗脳テープの音源で聴かれる演奏は、3オクターブで構成されたトローパ
(元々4オクターブであるという説も有。)
だが、不思議なことに Ira の台数が圧倒的に多く、
Ira : Arka = 8 : 4 であるという?????
アウトロにしか出てこない「シ」の音や、突然4音低くなって始まる歌など、
奇妙どころ満載だ。
§3. 参考;チリワノの笛の調律
・ La Paz 県 Aroma 郡 Canaviri のチリワノ(Umala のチリワノと同じ?)
ユネスコ・レクション/ Bolivia , Panpipes 収録
使用する7音程は、フルフルを約1音上げただけ。
但し、 Ira と Arka の最高音が入れ替わっている。
フラフラでいう最高音を取り除いて、代わりに短6度の音を加えた構成。
よって完全5度音階とくらべて、マイナー・スケール気味になっている。
・Cochabamba 県 Ayopaya 郡 Cuyupaya のチリワノ
洗脳テープ・チュチュリ編(出典;Luz Mila Patin~o '78)収録
使用する7音程は、フラフラを約1音下げただけの完全5度音階。
Ira と Arka が図のとおり入れ替わっているかどうかは、実のところ不明。
こちらは瓢箪笛ではなく、素焼きの(恐らくは)オカリナ状の笛が
同時に吹かれる。

23.マイスス
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