2009年イイヅカ・サトコ石版画復活への道-8
初めての制作!〜描画から第一製版まで〜

             
2009.5.20.
必要最低限の道具がそろったところで、いよいよ制作開始。
磨いて角落としも終わった石版石に、リトクレヨンで絵を描く。
         
↓リトクレヨン
コンテ型と、紙巻きタイプとがある。
          
下絵のある場合は、トレーシングペーパーの裏に「べんがら粉」をはたいて写す。
カーボン紙のような脂気のある物を使うと、トレースの線や、
手で押さえた部分なども全部、版になってしまうので注意。
鉛筆も同様、下書きには使えない。セロテープもだめ。
チョークやパステルのような脂気の無い物なら使えるようだ。
          
↓面倒なのでいきなり描く。
今回は墨一色なので、トンボも不要。絵の向きとかも気にせず描いた。
リトクレヨンは、牛脂を主原料としているらしいのだが、
不思議なことに、水にも油にもよく溶ける。
だから、クレヨンで描いた後さらに水を垂らして滲ませたり、
テレピンオイルでのばしたりすることもある。
初めから液状になった「溶き墨」も売ってるが、
私はそれほどベタ塗りをしないので使ったことがない。
          
         
↓描き終わったら「レジーヌ(ラズンとも呼ぶ)」という松ヤニの粉を塗る。
脂気の多い柔らかいクレヨンで描いた絵を、版面に定着させる。
その後「タルック(ストーンパウダーとも呼ぶ)」という石の粉を塗る。
これで、石の表面に汚れをつきにくくする。
と記憶していたのだが、色々調べてみると、レジーヌ&タルックは、
描画部を強い酸から守る役割もしているらしい。
            
↓アラビアゴムの水溶液を皿にすくって、硝酸をスポイトで何滴か垂らす。
アラビアゴムの量にもよるが、小皿に対して2〜3滴とか、4〜5滴とか。
絵の描いていない端っこに塗ってみて、泡がシュワーッと出てすぐ消える程度。
あまりに硝酸が強いと、絵が消えちゃったり、
さらに原液を垂らしちゃったりすると石が溶けて穴があいちゃったり。
           
↓周りから塗っていき、さらに全体にまんべんなく手のひらで塗る。
         
↓第一製版終わり。この状態で一晩置く。
          
↓ここで、ローラーの準備。
プレス機のおまけにいただいた裏皮ローラー、
長いこと使ってなかったみたいだし、大丈夫かな〜?と思っていたが、
付いていたインクも柔らかい物だったし、きちんとラップしてあったので、
保存状態はよかった。超ラッキー!少しの手入れで使えそうだ。
             
もともとローラーに付いていた余分のインクを落とす。
丸へら(スクレイパー)で順目(皮のケバの寝る方向)に掻き取る。
取り終わったら、逆目を(皮がケバ立つ方向)立てておく。
バックスキンの靴にたとえると、指で線が書けるのが逆目で、
元通りなめらかになるのが順目。
こうしておくことで、ローラーに付けたインクが、
版の砂目に食いつくようにしっかりと付く。
「製版インク」をへらですくって練り台に出し、練ってのばしておく。
練り台は本来大理石でできた重くて厚い版画専用の物があるのだが、
すごく高いのでパン生地を練ったりするやつを代用してみた。
しかし、材質が大理石に似せたプラスチックであるため、
へらの角が当たると傷が付く。あまり長持ちしないかも・・・
薄くてもせめて本物の大理石のにすべきだった・・・
         

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