〜日記のようなコーナー〜

「不二家のおじさん」1991年(石版画)


        
2007年2月2日
不二家のおじさん
         
いま話題の不二家で思い出して、昔の作品を引っ張り出してきた。
反対字を描くのが思いのほか面倒で「を」の向きが逆になってしまった。
しかし、哀愁ありすぎて「人さらいみたい」とか何とか、不評のため未発表。
    
一人暮らしを始めた20年程前のこと、
堀切菖蒲園駅のすぐ隣に不二家のお店があった。
そこの店長(なのか、どうかわからないが)のおじいさんが、
朝晩ペコちゃんを出したりしまったりするのが日課だったようだ。
いつもいつも、まるで孫でも抱っこするように丁寧に扱っていた。
    
ある日、店の前を通りかかった時、にわか雨が降ってきた事があり、
店の奥からおじいさんが真剣な顔でふっとんで来て、ペコちゃんを抱え上げた。
その様子をしばらく唖然として見ていた。
無事ペコちゃんをしまい終えたおじいさんが、
「ありあっとっあっしった〜」(「ありがとうございました」の意味)
と、またいつもの笑顔で戻ってきた。
      

        
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