2009年イイヅカ・サトコ石版画復活への道-21
カラーリト(多色刷り)その6
保存した版を刷ってみる。

             
2009.11.17.
6月に刷った後「保存」をした石版石を、そろそろ刷ってみようかな~
たぶん、もっと長い期間保存しても大丈夫そうな気がするが、
埃まみれになってきたし、石を使わずにおくのももったいないので。
           
アラビアゴムを塗ってロール紙を貼り付けて保存しておいた。
ロール紙に水をたっぷりふくませ、アラビアゴムを溶かす。
端からそっとはがす。
水洗いし、アラビアゴムを塗り、布で乾拭きし、乾かす。
(つまり、普通の刷りの準備と同じ)乾いたら灯油で製版墨を落とす。
ただ、長い期間置くと製版墨は乾いてしまっているので、落ちにくい。
灯油で落ちないときは、リグロインで落とす。
リグロインは工業ガソリンの一種だそうで、すごい揮発性の薬品。
調べてみたら「ベンジン」とほぼ同義で使われているらしい。
              
カラー(おうどいろ)で刷ってみた。
色を重ねられるように、トンボを付けた。矢印部分2箇所。
(写真を縮小したら見えなくなっちゃったけど穴があいている)
           
保存している間にしっかり製版されたせいか、汚れもない。
(その分、石には負担をかけているような・・・)
次の絵を描く時は、石磨きをたんねんにした方が良いと思う。
           

             
2009.11.18.
同じ版で色を変えて刷ってみる。
先ほどの黄土色の版に、アラビアゴムを塗り、布乾拭きして置く。
           
今日はたまたま一日置いたが、たとえば、続けて色を変えたい場合は、
アラビアゴムを乾かしてる間に次のインクを用意。
まず、さっきまで刷っていた色を練り台、ローラーともに灯油で落とす。
灯油分が残っていると、インクがうまくくっつかないので、
リグロインで拭くと良い。
          
アラビアゴムが乾いたら、版にくっついているカラーインクを落とし、
良く水洗いし、次の色をローラーで載せる。
というわけで、グレーで刷ってみた。
昨日の黄土色では猫が全部茶トラベースになってしまう。
いや茶トラも好きだけれども。
グレーも良いんじゃない?という猫好きの心の声に従って・・・
(「心の肥」と変換された・・・なぜだ?)
         
         
*あまったインクは、ラップに包んで保管しておく。
私の場合、同じ版を同じ色で刷ることはまず無い(石磨いちゃうし)
それに、別の版を刷れるほどインクは余らないんだけど、
取っておくと、次に色を作るのに、ちょっとだけ足したい時、
わざわざ缶から出すまでもない量だしヘラを何本も汚すのもな~
っていう時に、ラップからちょっとずつ出せて便利。
          
*インクといえば、
インクの固さの調整も説明が要るかな~
ヘラからゆ~~っくり落ちる感じかなあ・・・?
これも慣れというか、本当は刷ってみて判断した方が良いんだけど。
            
だいたいは、缶から出したままの固さで問題ないんだけど、
夏場は暑さでだら~っとにじむ感じになっちゃうことがあり、
「号外ワニス」などを混ぜて固くする。
冬場は寒いとインクが固くなり、紙に付きにくくなるので、
「溶解ワニス」というので緩くする。
           
インクが古くなってカチカチになってしまったのを無理に使おうとしても、
固まりがゴロゴロして刷りにくいし、ローラーを傷つけることがあるので注意。
(インクの缶は、乾燥しないように気を付けよう。
 蓋を開けっ放しにしないよう・・・・・・・・・子供かよ!)
             
よく料理の時「耳たぶの固さ」なんて出てくるけど、
材質が違う物でたとえるのって難しいよな~
以前餃子の皮を作る時に、耳たぶを触りすぎて顔が粉だらけになったが、
結局よく分からなかった。
           

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